セグメンテーション・ターゲティングとは、マーケティングの戦略を考える際に市場のどこを狙うかを決めるための考え方です。
昨今の顧客ニーズは、すべての人のニーズに応えようとすると製品コンセプトが曖昧になる、コストがかかりすぎる等の問題が生じ現実的ではありません。
そこで市場をある程度切り分けて自社が事業展開にふさわしい費用対効果の高い対象を絞り込むという考え方が重要になります。
セグメントテーションとは市場つまり不特定多数の人々同じニーズや性質を持つ塊に分けることです。
ターゲティングとはその中から具体的に標的とする塊を選ぶ事です。
セグメンテーション・ターゲティングは形資源をどこに投下するか、選択と集中を行うことにより費用対効果を高めることに役立ちます。
Segmentation(セグメンテーション)
不特定多数の人々を分ける切り口にはどのようなものがあるでしょうか。商品によって適切な切り口が違ってきますが、4種類の典型的な変数をご紹介します。
1つ目は人口胴体変数です。
年齢性別職業など人の属性を指します。例えば女性と男性若い人とシニア層などに分けることです。商品の実例としては女性向けの美容家電やシニア向け携帯電話などがあります。
2つ目は地理的変数で地方の特性、気候などを指します。例えば西日本と東日本、温暖地域と寒冷地域などです。商品の実例としては農村部に対象を絞った農村型大型ホームセンターや寒冷地の特殊なニーズに合わせた寒冷地型エアコンなどがあります。
3つ目は心理的変数で人のライフスタイルやパーソナリティーなどを指します。
例えば新しいものが好きな人と保守的な人など志向性で分類する方法です。商品の実例としては流行に敏感な人に対象を絞った最先端ファッション雑誌や環境志向に対象を絞ったエコカーなどが挙げられます。
4つ目は行動変数で商品に対する人の行動特性、態度などを指します。例えばヘビーユーザーとライトユーザなどです。
商品の実例では未使用者のみを対象とした低価格のお試し用化粧品セットなどがあります。市場をただ分けるだけであれば誕生日や血液型など色々な方法がありますが、購買行動に差が出ない切り方には価値がありません。
自社の商品特性に合わせて適切な切り口を選ぶ事は大変重要なポイントです。
なおこれらの切り口は個人向けの商品で使われることが多く、法人向けの商品では規模や外資系が日系かといった軸がより有効になります。
Targeting(ターゲティング)
セグメントを選ぶ際の評価基準として市場に関する6Rと呼ばれるフレームワークがあります。
1つ目はRealstic Scale・市場規模です。
市場は大きい方がより魅力的です。少なくとも事業が成立する最低限の規模を確保できるかを確認する必要があります。
2つ目はRate of Growth・成長性です。
現状の規模が小さくても今後拡大する可能性のある市場があります。成長性についてしっかりと見極めることが大切です。
3つ目はRival・競合状況です。
規模が大きく成長性のある市場には通常、他の企業が参入し競争が激しくなります。するとシェア獲得のために開発やマーケティングに投資が必要となり収益性が低下することがあります。競合と刺激性の見込みについても確認が必要です。
4つ目はRank・優先順位です。
例えば周囲への影響力が特に強いセグメントなど優先的にアプローチすべきセグメントかどうかと言う点も考慮する必要があります。
5つ目はReach・到達可能性です。
どんなに魅力的なセグメントであっても地理的に遠いとか有効な情報伝達手段がないなど、アクセする方法がなければ適切なマーケティング活動ができません。
6つ目はResponce・反応の測定可能性です。
広告の効果や商品の満足度などマーケティング活動の効果を検証できるかどうかも重要なポイントです。
特に重要なのは『Realstic Scale・市場規模』『Rate of Growth・成長性』『Rival・競合状況』の3つです。規模が大きく成長性の高い市場は、通常競合にとっても魅力的なため多くの場合、競争が激しくなります。市場の魅力と自分たちが勝ち残れる可能性を天秤にかけて相性選ぶことが大切です。
セグメンテーションとターゲティングについてまとめます。
不特定多数の市場を意味のある切り口で分けるのがセグメンテーションです。
切り口の例には地理的変数、人口胴体変数、心理的変数、行動変数などがあります。
切り分けた中から自社に最も適切なセグメントを選ぶのがターゲティングです。
ターゲティングの判断基準として市場に関する6Rというフレームワークがあります。
6つのRは①市場規模②成長性③競合状況④優先順位⑤到達可能性⑥反応の測定可能性です。
判断基準に照らし合わせ自社にとって適切な市場を設定します。
市場の魅力だけでなく、自社がその中で勝ち残れる可能性がどれほどあるのかを見極めた上で、
適切に指導を選ぶ必要があります。切り口を慎重に見極め自社の競争優位性を確認し適切な市場を選びます。