外部のディレクターに依頼していて、次も頼むかどうかが決まる場面があります。
分かれ目は、0から3まで伝えれば動いてくれるかどうか。スキルの高さは、思っているほど効いてきません。
ディレクションは、成果物で切れない
まず、ディレクターの費用が時間で組まれることが多い理由から。
デザインなら「LP1本」、コーディングなら「10ページ」と数えられます。ディレクションはそうはいきません。打ち合わせ、資料作成、調整、確認。その全部が業務です。切り分けようがないので、稼働時間で押さえることになります。
制作物単位で見積もる仕事と、時間で見積もる仕事では、そもそも評価のされ方が違う。ここが前提になります。
フリーランスの請求書を即日払い【FREENANCE】ランクは4段階ある。分けているのは資料の綺麗さではない
業界的に、ディレクターは大きく4段階で見られています。金額の幅は、上と下でおおよそ倍以上開きます。
一番上は、企画提案、改善提案、構成案作成、顧客折衝、レポート作成、提案書作成。ディレクターとしての仕事を一通りできる状態です。
その下は、企画提案はできるものの、品質がそこまで高くない層。さらに下が運用ができるレベル。一番下は指示待ちで、作業レベルにとどまる層になります。
では、一番上とその下を分けているのは何か。
資料が作れるかどうかではありません。結果に対して真摯に向き合っているかどうかです。
どうしたら結果が出るのか。市場のトレンドは何なのか。そこを自分で把握している人が上に来ます。提案書のフォーマットは綺麗でも、「なぜこの施策なのか」の説明が市場の話につながらない人は、その一段下で止まる、というのが正直な印象です。
もっとも、この見立ては私の中の整理であって、会社によって基準は違うでしょう。
上流を持てるかどうかで、扱いが変わる
ディレクター、デザイナー、エンジニアを並べたとき、ディレクターの費用が高めに置かれる傾向があります。上流を担うからです。
どのように改善すべきなのか。どういう方針で進めるべきなのか。全体の方針をどう定めるのか。「何をすべきか」という手法ではなく、目的の設定と企画策定を持つ。
デザイナーとエンジニアの職務は、AIに置き換わりつつあります。ディレクターも例外ではありません。ただ、経験則と顧客折衝が求められる分、置き換わりのスピードは違うと考えられます。
「AIで誰でもディレクションできる」という話も見かけます。発注する側から見ると、AIが出せないのは判断の責任です。提案が外れたときに顧客の前に立つ人が要る。そこにお金を払っている訳です。
とはいえ、これが5年後も同じかは分かりません。
代理店案件は「丸っと」依頼がくる
外部のディレクターに何を求めているか。一番はこれです。
代理店経由の案件だと、代理店の担当者は非常に忙しい。だから丸っと依頼されることが多くなります。デジタルマーケティング全般の提案をする中で「クリエイティブのパートを提案してほしい」という話になって、概要だけを聞いて、こちらで提案を組み上げる。
ディレクターの現場で、0から10まで教えてもらえて、要件定義が全部説明された上で作れることは、まずありません。
ある程度こちらで把握して、予測を立てて作っていく。それが経験則です。
0から3で動く人と、0から10を求める人
継続して頼む人は、0から3くらいまで伝えれば、あとはよしなに進めてくれる人です。
経験則があって、見立てが立てられて、何を求められているのかを把握して進めてくれる。ラリーが少なくて、その少ないラリーが的確な回答か、的確な提案になっている。
二度目がなくなるのは、こういう返し方をする人です。
「情報がないのでできません」。「この情報が足りていないのでできません」。そして、とにかく質問が多い。
質問が多いこと自体は、見方によっては良いことなのかもしれません。ただ、こちらは回答している時間がないから依頼しているわけです。質問に答える時間があるなら自分でやったほうが早い。その状態で聞かれると、正直しんどい。
もう少し仮説を立てて「ここはこうだと思うので、こう進めます」と持ってきてくれたら、話は圧倒的に早くなります。
ここで注意しておくと、仮説を立てて進めるのは、確認を省くこととは違います。確認すべきところを飛ばされるのも、それはそれで困る。線引きは案件によりますし、そこは依頼する側が最初に示すべきところかもしれません。
そうでない人への依頼がゼロになるわけではありません。ただ「あまりにも忙しくて誰も手が空いていないとき」という位置づけになります。優先順位は下がる。
独立するなら、単価より先に顧客
ディレクターとして独立すること自体は勧められます。
ただし条件があります。
すでに顧客を持っている状態で独立すること。
制作会社から、代理店から、メーカーから。どのパターンもありますが、顧客ゼロの状態からの独立はかなり危険だと思っています。「スキルはあるから何とかなる」で始めると、営業に時間を全部取られて、肝心のディレクション品質が落ちます。
数は少なくていい。1社2社でも、あなたが顧客を持っている状態なら独立できます。
裏を返すと、顧客を持てているということは、その顧客の満足度をすでに満たしていて、効果を出せるスキルを身につけているということです。成功体験としての顧客があり、かつその顧客があなたにバイネームで依頼してくる。この状態なら、独立を考えていいと思います。
年収でも売上でもなく、まず月額給与と同じ。そこを最初のラインとして考えてもいいのではないでしょうか。
そして独立した直後は、仕事があっても入金までのサイクルに乗るまでに時間がかかります。この業界は納品しないと請求が立たないので、そこは別の話として押さえておいたほうがいい。
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執筆

WEBディレクター
大下 司
1988年、福岡生まれ大阪育ち。大阪芸術大学を卒業。
制作会社でWEB制作の企画・制作・運用を10年以上を経て、2023年よりフリーランスとして活動。2026年より株式会社Sunを設立。
長年にわたるWeb業界での経験をもとに、Web業界に纏わる記事を執筆中。
自分のミッションは次世代を担う人材を創ること。


