法人サイトのサーバーは『落ちた後』で選ぶ

クライアントのサイトを預かる立場でサーバーを選ぶなら、見るべきはスペックではありません。落ちたときに、誰が原因を突き止めるのかです。

料金も容量も、比較表を見れば誰でも判断できます。差が出るのは、トラブルが起きた後です。そしてそのとき、クライアントに説明するのは制作会社であるあなたです。

実際に見ている5つ

上から順に確認しています。

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正直に言うと、1〜4で大きな差はつきません。3と4は「付いていて当たり前」に近づいていますし、1と2は比較表で終わる話です。

問題は5です。これが効いてくるのは、契約したときではなく、落ちたときでした。

月1回落ちて、原因が分からないまま終わった話

国内大手通信系のサーバーで経験した話です。

そのサーバーに乗せていたサイトが、月に1回のペースで落ちました。

問い合わせるたびに返ってくる答えは「アクセスが集中したため」です。ただ、納得できませんでした。他社の事例と比べても、そのサイトのアクセスボリュームは落ちる水準ではなかったからです。

結局、具体的な原因は分からないままでした。

実際にかかったコスト

落ちるたびに、クライアント対応に 3〜5時間かかっています。障害の確認、状況の説明、復旧後の報告。これが月1回です。

単純計算で、年間36〜60時間。しかもこれは、原因が分からないので「次も起きます」としか言えない時間です。当然、請求できる作業ではありません。

なぜ移行しなかったか

移行はしていません。そのサイトが、複数あるブランドサイトのうちの1つだったからです。

サイト単体で見れば移行したほうがよかった。ただ、他のサイトとの兼ね合いで踏み切れませんでした。「移行したほうがいいのに、移行できない」状態こそが、選定を誤ったときの本当のコストだと思っています。

だから運営元を見るようになった

この経験から、私はサーバー選定で問われるのは次の一点だと考えています。

障害が起きたとき、サーバー会社が原因を突き止めてくれるか。それとも「アクセス集中です」で終わらせるか。

スペック表に、この項目は載っていません。だから代わりに「どこが運営しているか」を見ます。運営元を見るのは、平常時の性能ではなく、異常時の対応を推し量るためです。

クライアントが自前で契約したサーバーに乗せるとき

こちらでサーバーを選べないケースもあります。クライアント側がすでに契約している場合です。

このとき、先に確認しているのは3つです。

PHPのバージョン — ここが一番大きい問題になります。古いと、WordPressを実装する際に脆弱性の問題が発生します。

ディスク容量 — 足りるかどうか。単純ですが、後から効いてきます。

予約投稿ができるか — 昔ほどではないかもしれませんが、今も引っかかる可能性はあると思っています。

保守を請けるか、請けないか

サーバーやWebについての知見が全くないクライアントには、保守を提案することが多いです。

ただし線引きが必要です。Web制作会社イコールサーバー会社ではありません。

保守を請けると言っても、サーバー側で起きたことまで自分たちが原因を突き止められるわけではない。どこまでを自分たちの責任範囲とし、どこからをサーバー会社の領分とするかは、契約前に決めておく必要があります。

前述の「月1回落ちる」件も、突き詰めればここです。原因が分からないまま、間に立つこちらだけが説明を求められる状況になります。

今はエックスサーバーを使っている。ただし提案が通らなかったこともある

現在の標準はエックスサーバーです。理由は3つ。

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3つ目は地味ですが実務では大きいです。さくらサーバーも同じ理由で使いやすいと感じています。

正直に書くと、認知度で負けたことがあります

一方で、エックスサーバーには不満もあります。認知度です。

会社は大阪にあり東京にもオフィスがありますが、法人のクライアントに対しては、まだまだ知られていないと感じます。

実際に、こちらがエックスサーバーを提案したのに、「さくらのほうが知っている」という理由でさくらレンタルサーバーが選定されたことがあります。

技術的な比較ではありません。認知度だけで決まりました。

受託の現場では、これが起きます。自分が使いやすいサーバーより、クライアントが知っているサーバーが勝つ。提案する側は、この力学を織り込んでおく必要があります。

逆に言えば、あなたが選定の主導権を握れる案件でこそ、選定基準がものを言います。

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法人案件で使うなら、個人向けプランではなくビジネス向けの共有サーバーが現実的な選択肢になります。ドメインを新規で取るなら、同じところでまとめたほうが管理は楽です。

この基準が当てはまらない場合

サーバーやITの知見がある人には、ここまでの話は不要です。

私が「サポートがあるか」「運営元はどこか」を重視するのは、自分と、知見のないクライアントが障害時に立ち往生しないためです。自力で原因を切り分けられるなら、優先順位は変わります。

AWSがその典型です。メジャーですし、性能では選択肢に入ります。ただ運用の難しさがあり、サーバー会社に依頼して解決してもらう形が取りづらい。私にとってはそこがネックです。

裏を返せば、自前で運用できる体制があるなら、AWSを避ける理由はありません。

まとめ

法人サイトを預かる立場でサーバーを選ぶなら、比較表の数字ではなく、落ちたときに誰が原因を突き止めるのかを先に確認してください。

月1回の障害で、対応に3〜5時間。年間で数十時間。しかも原因が分からなければ、その時間は来年も同じだけかかります。平常時にどれだけ安くても、割に合いません。

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